俺へ
俺は十年後のお前だ。その子は俺の子だ。
そして未来のお前の子でもある。
俺は三年前に結婚し、一年半を過ぎた頃にやっと子供を授かり、華が生まれた。
生後六ヶ月になる。
今日から三日間、俺と嫁は仕事で華を誰かに預けなければならなかった。しかし、おやじさんは一年前に死んでいたし、妹も嫁に行き、三人の子育てに忙しく頼めない。
俺は思い出したんだ。
十年前に華ちゃんと会った、三日間のことを。
だから華ちゃんを預ける準備をして願ってみた。そしたらお前の家の玄関にいた。
そして、この手紙を書き、華ちゃんを置いていった。
三日間本当にありがとう、俺。
そう書かれてあった。とても信じられなかったけど、全てが繋がった気がしてあっさり受け入れられた。おれは華ちゃんを寝かしつけてバスケットへ寝かせ荷物を持ち玄関へ行き、華ちゃんと荷物を置いてドアの外へ出た。
どのくらいの時間がたったのかわからなかった。ゴトンと音が聞こえたあと、ゆっくりドアを開けた。そこにはもう華ちゃんはいなかった……跡形もなく消えていた。この三日間のことが夢か幻だったかのように何もなくなっていた。ただそこには確かに今まで華ちゃんがいた。ミルクの匂いだけがかすかに残っていた。
悲しくはなかった。十年後会えるのがわかったから。おれの娘だったことが嬉しかったから。
「バイバイ華ちゃん、そしてまた会おう。おれの華♡」