毅然とした態度が取れない
植民地時代の歴史に関する本を読むと、西欧諸国が欧米以外の現地民に対して命令したり現地人をコントロールしたりする際、脅かす事で簡単に意のままにできたと云う。
但し、日本の武士を除いてである。当時の武士の価値観から、無礼を働いた欧米人を容赦なく切り捨てた。欧米人に対しても臆する事なく毅然とした態度を取っていたのだが、その中で有名な事件が生麦事件であろう。
この生麦事件とは、江戸末期に横浜市鶴見区生麦付近において、島津藩の島津久光の行列に乱入したイギリス人を、薩摩藩士が斬り捨てた事件である。この様な事もあり、欧米人は日本の武士に一目を置き、そして幸いにも日本は植民地にならなかった。この武士道精神の存在が日本を救ったと云っても過言ではない。
そしてこの武士道精神はその後も続き、日本は目覚ましい発展を遂げた。新渡戸稲造が英文で書いた『武士道』は海外でも有名で、日本でも最近はこの本が見直され、原文を翻訳した本や解説本が沢山出版されている。
新渡戸稲造の本は読まれてはいるが、どうもその精神文化は段々骨抜きになり、今では毅然とした態度を取れる人が大変少なくなった様に感じる。特に政治の世界での外交において、それが如実に表れている。そして逆に今では日本人よりも東南アジアの人達の方が毅然とした態度を取っていて、欧米人とは対等な気持ちで接している。
日本人の方がペコペコして、プライドが無いのである。日本人の多くは内弁慶なのか、日本人相手には偉そうな態度を取っているが、外国人相手になると英語が不得意の所為もあり、ペコペコしている人を大変多く見掛けた。大変残念な事である。この毅然とした態度が取れていない事は、外国相手の時のみではない。国内での企業活動や社会活動においても如実に表れている。
2021年9月に行われた自民党の総裁選挙で、高市早苗議員が、毅然とした態度で正論を唱えていた。これはここ数十年無かった事で、拍手喝采を送りたい。