依頼の内容は、村に出た二頭の妖魔狩りだった。この妖魔は最近では近隣の村々に頻繁に現れては、村を襲うことが多くなっており、村人が何度も同じ姿を見たというのだ。このままでは周辺の村々が壊滅してしまうということで妖魔狩りの依頼が来たのだという。

今回は妖魔が二頭ということで、編成は十人となった。ゲン以外の顔ぶれは既に揃っていた。狩人が三人と兵士が四人。そして、武人が二人。そして、ゲン。

「おうおう、こんな面子なんかで妖魔を狩ろうって本気なのか」

店の奥の角に背をもたせ掛けてその場の状況を見守っていた狩人の一人が、不服があるらしく文句を言い出す。すると、一人の武人が低い声で言い返す。

「何か不満でもあるのか」

「当たり前だ。何で俺たちが妖魔狩りなんかしたことなさそうな奴らと組まなきゃなんねぇんだ。それにそこの小僧。お前は俺たちを馬鹿にするためにここへ来たのか、ああ。調子に乗ってるとたたっ斬るぞ」

そう言って狩人はゲンを睨み付ける。どうやらこの面子に相当の不満があるようだ。その狩人からは怒り以外に何も感じられない。

「お前、何でこんなところに来たんだ。こんな子供が一緒で本当に妖魔を狩れるとでも思ってるのか」

すると、武人は低く静かな口調で言う。

「不満があるならこの依頼は受けなくても良いんだぞ」

狩人の男の言葉を武人が冷静に返す。静かでゆっくりとした口調ではあったが、その武人の言葉には明らかな威圧感が漂っていた。その威圧感に押されたのか、狩人はそれ以上口を開くことなく黙り込んでしまった。

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