プロローグ(一) ~タイ人美少女『ミー』との出逢い~
ベッドの中で、若いタイ人女性が健康的な肢体を無防備に投げ出して、すやすやと私の隣で眠っている。
二四歳、名前はミー。つややかなロングヘアーの黒髪が肩からシーツへ流れている。
やや薄暗い朝の気配が漂い出した部屋の中で、わずかに残る眠気を感じながら、安心しきっているような彼女の穏やかな寝顔を眺めていると、もう何十年もの間味わったことのない幸福感、いや生まれて初めてかもしれない幸福感に酔い痴れることができた。
場所はタイのリゾート、パタヤ。今までの私では、目を合わせることすらはばかられるような美しい少女が、私を信頼しきったように傍らで眠っている。ただそれだけで、私と彼女の関係が、軽いナンパ目的のジャパニーズと行きずりの少女であることなど、実に些細なことであるように思えた。
確かに、いわゆる『真剣なお付き合い』とは言えない、刹那的な喜びかもしれない。でも、これに何の問題があろうか?