ウイルスは、単独でタンパク質を合成できないので、侵入した宿主細胞のリボゾームを利用して、ウイルスタンパク質を細胞のリボゾームに合成させるのです。核を取り囲んで細長いゴルジ体があり、RNAと混在してタンパク質などの倉庫になっています。
また、中粒状のリソソームは、消化酵素を貯蔵し、必要に応じて消化酵素を出して不要物を分解処理しています。細胞質内のRNAは、DNAがもつ遺伝情報を転写してリボゾームに伝え、必要なタンパク質をリボゾームで合成するのです。このように生体独自のタンパク質を合成して増殖するにはRNAとDNAの連携作業が必要なので、生物は必ずDNAとRNAの両方の核酸を細胞内にもっているのです。
だが、ウイルスは、RNAかDNAのいずれか一方しかもっていないので自力でウイルスタンパク質をつくれず、自己増殖することができないのです。そのため、生きた細胞に侵入し、宿主細胞の機能を巧みに利用し宿主細胞にウイルスタンパク質をつくらせて増殖するのです。
(6)細胞の形や機能と大きさ
細胞の形は、生物の種類により大きく異なり、さらに、その組織や器官の機能に適応した形態をしています。動物の神経細胞は独特な形でニューロンとよばれ、神経繊維(軸索)と周りの細胞に興奮を伝える樹状突起や長く伸びて末端部に伝える軸索突起をもって刺激や感覚の伝達をおこなっています。
免疫細胞には、後に述べるように、白血球、リンパ球などがあり、個体をウイルスや細菌などの外敵から守る防御機能をはたし、細菌などを食作用で排除する防御機能に適した形をしています。細胞の大きさも様々ですが、卵細胞は、一般的に大きく肉眼でも観察できますが、それ以外の細胞は、光学顕微鏡で見える程度の大きさで、細菌などの細胞は約1~2μmです。
哺乳類の体細胞は約20μm程度で、赤血球は直径7~8μmの偏平な球形の細胞です。(1μm=10-6m、100万分の1m)しかしウイルスは、もっと微細で約100万分の1ミリほどで、細菌の50から100分の1位の大きさしかないのです。