プロローグ 銀行が融資してくれない!
GIGAスクール構想参画に立ちふさがった障壁
中国企業のバイタリティ
CHUWIは日本のみならず、中国でも無名な企業です。つきあいのあったファーウェイ・ジャパンの執行役員に聞いてみましたが、「知らないよ」と言います。私が調べたかぎりでは技術力はたしか。低価格でハイスペックというこちらの希望にマッチする商品開発も手がけています。
とはいうものの、同じ深圳市で設立されたファーウェイの幹部すら、その存在を知らないのは不安要素でした。世界的によく知られたレノボやヒューレットパッカードなら、まったく心配はしなかったのですが。
「ここと取引したいから、誰か紹介してよ」
「じゃあ、そういうのに適任の人がいるから紹介するよ」
ファーウェイ・ジャパンの執行役員は気軽にそう言うと、紹介してくれたのが中国人コーディネーターAさん。早速、コーディネート契約を交わし、新進パソコンメーカーCHUWIとの交渉に乗り出すと、すぐに返事がありました。
「竹本さん、CHUWIと話ができたよ。先方はすごく乗り気だよ」
こうしてはじまったCHUWIとのビジネス折衝はすべてオンラインです。といっても、中国は通信環境が不十分なので、やりとりは音声のみ。現地には一度も行っていませんし、社長の顔すら見ていません。まさしく、インターネットビジネスです。
「ホントに何万台もつくれるの?」
CHUWIの社長にそう聞くと、即答します。
「だいじょうぶ。絶対できるよ」
日本人相手なら、礼を失すると思われるようなことも遠慮せずに、はっきり言うのが中国人相手のビジネス交渉の要諦です。しっかりイニシアティブを握って、話を進めないと、相手に翻弄されかねません。上海人の妻と結婚して、多いとは言えないながらも中国人とつきあってきた私のやり方です。
中国人は「できない」とか「難しい」とは、絶対に言いません。慎重な日本人との最大の違いです。(ほんまに、だいじょうぶかいな)とは思うものの、心強いことは間違いありません。
とにかく、私にとってもCHUWIにとっても、千載一遇のビッグビジネス。大きな目標を共有することができたのでした。