「今人気なんだよねぇ」

「そうよ」

「走っている所、結構見かけるよねぇ」

「カバン、大きいし、目立つから」

「夜も配達してくれるんだよねぇ」

「二十四時までかな、お店がやっていればだけど」

すでにドアに手を掛け、店から出ようとしていたハオチー員に急いで声を掛けた。

「すいません、ハオチー員さん、どうやったらハオチー員に成れるんですか」

ハオチー員は振り向き、

「ホームページからアプリをダウンロードして、そこから登録してください」

そう言って、スッと出て行った。思い切ってやってみるか。ハオチーホームページ、アプリのダウンロード、アカウントの作成か。

「幸チャン、探偵辞めてハオチー員にでも成るつもり」

「いや、俺じゃなくて……」

ここで私は成田さんの名前、住所、メルアドを入力してみた。すると『すでに登録済みです』というメッセージが出た。思わずほくそ笑んだ。すると、ここから新橋のお店まで何分掛かるかだ。これもスマホが有れば直ぐ分かる。車で十二分、バイクならもっと早い、何とかなりそうだ。

【前回の記事を読む】今の犯罪者は、そこら中に有る「防犯カメラの目」をどうくぐり抜けるのか?