関税による国内産業の保護
各国の政府は自国の産業を守るために関税というものを編み出しました。他国からの商品の価格面での競争力を削ぐことが狙いです。
日本では米農家を保護するために、輸入米に対し非常に高い関税が設定されています。キロ当たりの関税額がほぼ国産米のキロ当たりの市場価格ですので、海外でいくら安くておいしい米を生産したとしても、一般消費者が米の購入に倍の金額を払うとは考えにくいです。
一方、日本が輸出している自動車に対し、アメリカは高い関税を設定しています。そのため、最終的な組み立てをアメリカで行うことで関税による販売価格の高騰を回避するという方策を取ることがあります。アメリカからすれば、組み立て工場の建設を促し、雇用を創出するという副次的な効果もあります。
関税は各国政府の思惑が反映されるものの一つだといえます。
関税は、どこの国から輸入されたとしても一律に設定されるものもあれば、国ごとに設定されるものもあります。ですので、先の例でいえば、アメリカが関税を低く設定している新興国や途上国で生産することで人件費を抑え、それらの国からの輸入とすることで関税も抑える、という方策を取ることもあります。この場合、工場が建設されたそれらの国がアメリカとの交渉の末に勝ち取った低い関税には、工場を誘致することで雇用を創出し経済の活性化を促そうという思惑があったといえるでしょうね。