その年の9月、モロッコのアメリカンスクールへ母と面接へ行った時の事です。

高校3年のクラスに入る為の編入試験を受けたのですが、とてもショックな事を告げられました。日本の大学へ進学するならGrade12(日本の高校3年生)に入学するので良いが、アメリカの大学へ行くつもりなら、英語力が足りないから学年を1つ落として、もう一度Grade 11(日本の高校2年生)をやり直した方がいい、という事でした。

とてもショックでしたが、私はここまできたのならもっと勉強しようと、学校側から勧められた通りに学年を落として再度高校2年生をやり直す事を選び、入学しました。

ニューヨークの高校とは全く違っている事に驚きました。まず、通っている生徒の国籍の多様さです。

自分のクラスへ行くと、クラスはたった16人でしたが、なんと生徒の国籍は14カ国という多国籍。年齢もバラバラで、下は16歳から上は22歳の生徒までいました。日本や、アメリカでも考えられないクラスの雰囲気に、とても驚いた。

そして何より驚いたのは、勉強内容の難しさでした。2年半のニューヨークでの高校生活で私は何をしていたのだろうと大きなショックを受けました。

しかし自分で決めた事なので泣き言は言えません。

学校から戻ってくると、食事とお風呂以外は宿題と小テストに備えて、ずっと勉強する日々が続きました。母もそんな私に毎晩付き合ってくれて、辞書を引いたりと一緒に頑張ってくれました。その事に今でも感謝しています。

幸い、モロッコはムスリムなので、娯楽というものはなく、しいて言えば夜中の12時に開くディスコぐらいなものでした。

ただ問題が1つありました。王様は1年のうち3回から4回、季節毎に宮殿を移動される為、母はそれに同行しなくてはならなかったのです。

学校がある為、私は母に付いていく訳にはいきません。そこで、モロッコで初めての日本食レストランを経営する日本人ご夫婦のお宅にお世話になりました。学校も近かった為、その後夫婦のお家から歩いて通学しました。

学校の休みの時は、母と一緒に王様が滞在する宮殿にご挨拶へ行きました。おかげで色々な宮殿を見る事ができました。

王様は、私がご挨拶へ行くと、必ず、「よく来たね!」といつでも優しい笑みで私を迎えて下さいました。