「貴女が、結婚なんて必ずしも必要ではないという気持があるのはわかります。
貴女に対する今の僕の気持は自分自身でどうしようもない。貴女があるから結婚があるのです。
だから、何年でも待ちます。緒田さんがその気持になるまで。
結婚という形態を取らないで一生を送るという事は考えられない。恋愛するという事についてもそれは仕方のない事だ。
結婚を強要しているのではないです。自然に緒田さんがその気持になるまで待つ気持なのです。結婚するのは僕には貴女以外はないから。貴女が納得するまで何年でも待ちます。
四月からの別れ、この事実が非常な重圧となってのしかかってきます。
以下、僕の『夢』、現在の心境です。
お互いに全く責任のない学生という身分で
好きな時に会えて
誰にも邪魔されず
好きな音楽とか絵とか文学とか映画とか
について語り合い
そして一番重要な事
お互いに好きである
という事のみを
考えていればいいという状態が
永遠に続くならば
結婚なんて本当はどうでもいい
同じ空間で同じ事を考え
透明の時間に身をまかせる事が
出来るならば
これに勝る人生はない
夢よ
醒めないでくれ」
(42年2月 沖田陽一)