小説 『夢を叶えた、バツイチ香子と最強の恋男』 【第5回】 武 きき 「私、初めてです。こんなに気持ちがいいって…」――彼の顔を見るのが恥ずかしい。顔が赤くなっているのが自分でも分かった 【前回の記事を読む】「綺麗だ」バスタオルが落ち、丸裸になった私を彼は抱きしめた。「抱いていいかい?」手を引かれ、そのまま寝室へ行き…朝、いつものように、席に着いた。「どうした? 香子、妙に静かだな」顔が、赤くなっているのが、自分でも分かった。「だって、昨日、あんな事、こんな事、そんな事、したから、丈哉さんの顔を見るのが恥ずかしい! 丈哉さん変態なのかなと思ったんです」丈哉さん、コーヒーを吹き出し…
小説 『罪の行方』 【新連載】 中島 みなと 突然の連絡だった…当直室で大みそかの歌番組をみていると、「胸を刺された外傷の人がいるので、救急搬送します」 11月の晩秋を迎えたある土曜日の夜のことであった。クリニックでの診療の仕事を終えて帰宅した私は、妻と夕食の食卓をともにしていた。長年連れ添った相手とは特に話すことも多くなく、その日の出来事を少しばかり話はするが、どちらかというと物静かに時間が過ぎていった。食事を終えたあと、私はソファに座ってNHKの夜7時からのニュースを見るともなく見ていた。番組最後の天気予報では、明日はこれまでの季節外れの暖か…