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十一、運命の出会い

「克裕さん」は、ここがUCCのバザール会で、いっしょにイタリアに行った知人の店だと言って、急に右足のズボンを大きくまくり上げ、パラグライダーで突風を受けて落下し、複雑骨折をして、十三針も縫ったとも言った。

私は、名古屋で小中高とすごし、高校の時、演劇部で演劇にのめり込み、中部大会まで行った、また大学は東京の演劇科のある大学に行きたかったが、両親の希望で、地元のお嬢さん大学に入学したと、言った。

料理も好きで、二年間は大学に通いながら料理教室にも通っていたとも話した。

克裕さんからは、彼の経営している角田市のマルセンには、お店の中に本物の蔵があり、業務用の食材や包装紙材を売っていると聞いて、料理好きの私は、どんなお店なのだろうと、想像がどんどんふくれ上がっていく。

そこで私は、「この近くに、私のよく行く明治屋さんというお店があるのですが、そこへ行ってみませんか」と、克裕さんをおさそいしてみた。彼はふたつ返事で、「行こう」と言って、すばやく席を立った。

『なんだか、体中がバネのようで、コリコリした人だなあ』という体の印象を持った。超元気で、超ヘルシー、超前向き、超明るい、そして、裏表うらおもての全くない正しい人というイメージである。

二人で並んで歩いて、十分ほどにあるそのお店に向かい、楽しくお話をしながら、数点のお買い物をした。

仙台駅へ戻る帰り道、教会の前を通った時、突然、『この人とは、肌が合う』と思い、体中に、稲妻が走った。

「子供たちに食事を作らなければならないので、今日は、そろそろおいとまします」

と言うと、彼は、「また、会いましょう」とさわやかな笑顔で言ってくれた。