価値の基準となる貨幣
硬貨が生まれたことでそれまでは比較しにくかったものが、硬貨を基準に比較できるようになりました。おにぎり一個とアンパン一個であれば大体同じくらいの大きさですし、同じ食べ物ですので、同じくらいの価値かなといえます。では、おにぎり一個と靴一足はどうでしょうか?
靴を売りたい人が腹ぺこであればおにぎり一個でも交換してくれるかもしれません。しかし、普通そうはいきません。おにぎり何個分が靴一足に相当するかは、おにぎりと靴の用途が異なるので、そのときどきで変わる可能性があります。この問題を硬貨が解決します。
おにぎり一個は銀貨一枚、靴一足は銀貨五〇枚、というふうに硬貨を基準に価値を測ることができるようになったのです。すなわち価格です。
人それぞれの事情で何をどのくらい欲しいかという意味での価値は異なりますが、物を売り買いする市場では一律の価値の基準を持つことができるようになったといえます。
先の例でいえば、ある人が靴一足をおにぎり一個分の価値しかないといくら主張しても、市場における価格は銀貨五〇枚で、おにぎり一個を買うことのできる銀貨一枚では靴一足を手に入れられない、ということです。