また、2017年の調査によれば働いている者6621万人のうちの約4割(2133万人)が簡単に馘首されるパートや派遣などの非正規労働者で、それらが増加傾向にあるとされている。

その根本的な原因は資本主義(市場経済制度)の社会には友愛が欠けていて、各人の「儲ける自由」を第一とし他人の「生きていく自由」を考慮しないからであろう。

友愛のない企業はコスト削減が必要な場合、いつでも従業員を馘首できるように派遣やパート労働者を多くし、社員たちを使い捨てにしようとしているのである。

世界的には、2008年頃から財政危機が表面化していたギリシャも、2015年ついに先進国初の「債務延滞」に陥った。

ユーロ圏の19カ国は同年7月16日つなぎ融資に合意しているけれど、前途はまことに多難と思われる。

そのギリシャにさえ不法移民・難民がおしかけ更にヨーロッパ各地へなだれ込もうとしており、政情の不安な中東やアフリカからの密入国者たちが急増することによって、各国内の生活水準が下がり、社会不安を招くなど苦慮しはじめることになった。

そのうえ、2016年6月英国が欧州連合(EU)からの離脱を表明※2したので、仏・独・オランダ・ベルギー各国の離脱分子も勢いづき、世界経済は今後ますます混乱すると予想される。

(注2)EUが1993年発足以来加盟国の離脱は初めてである。

そして、国連は2015年に「持続可能な開発目標(SDGs)」として17項目を定め、その第一番目に掲げた目標が「貧困をなくそう(NoPoverty)」である。

しかし、市場経済を主流とする資本・共産両主義の国々では、国民の大多数を貧困にした<虚の富>を放任しているし<富の偏倚>も制限しないから、「世界の貧困」は決して解決できないであろう。

第3章 現代政治の実態

日本の現状

2015年2月に、政治資金問題の責任を取る形で、当時の西川公也農林水産大臣が辞任した。2012年12月の第2次安倍政権発足以降、実に3人目の閣僚引責辞任である。

政府は相次ぎ発覚した「政治とカネの諸問題」について、再発防止を検討することを公表したが、その本気度が認められないと報道陣の声が高まる矢先、今度は2016年1月に、金銭授受疑惑の責任を取って甘利昭氏が内閣府特命担当大臣(経済財政政策)を辞任。

さらに2017年には、首相自身とその夫人が森友学園・桜を見る会問題で渦中の人となり、内閣府特命担当大臣(地方創生、規制改革、男女共同参画)および女性活躍担当大臣の片山さつき氏の国税局関係疑惑が報じられ、2019年8月に厚生労働政務官だった上野宏史氏が口利き疑惑で辞任、2020年6月の河井克行元法務大臣も公職選挙法違反での逮捕と続いている。