四「父上からきついお叱りを受けたが……」重綱さまはしょげた様子で、でもな、と言った。「大坂落城の前日は、後藤又兵衛(ごとうまたべえ)どのや薄田隼人(すすきだはやと)どのとの戦があってな、真田左衛門佐幸村どのは敵ながら儂わしの戦働きを良しとしてくだされたのだ……」父親の見る目だけがすべてではない、と言いたげに小鼻を膨らませた。「夜遅くな、左衛門佐どのの使いの者が、書状を持って我が陣に駆け込んで来た…
[連載]幸村のむすめ
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