三里と原田、川北と安達が、網場で鳥類標識調査をしていた朝、すぐ北隣のサケふ化実習場では、大騒ぎが起きていた。「おい! 稚魚が死んでるぞ!」水産科三年で水産クラブ副会長の川原は、目の前の惨状にうろたえた。昨日まで元気に養魚槽を遊泳していた稚魚たちが、今朝は、生気なく水面に浮かんでいた。「……」同じく水産科四年で水産クラブ会長の大河は、声にならない声でうめいた。顔は怒気を帯びている。「とっ、とにかく…
[連載] ニシベツ伝記
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小説『 ニシベツ伝記』【第4回】草野 謙次郎
ふ化実習場で大量に死んだ稚魚…その原因に「怒りを感じずにいられなかった」
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小説『 ニシベツ伝記』【第3回】草野 謙次郎
【小説】「半世紀前までは森の国だったのに…」変わりゆく根釧
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小説『 ニシベツ伝記』【第2回】草野 謙次郎
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小説『 ニシベツ伝記』【新連載】草野 謙次郎
【小説】「ね、教えて。おばあちゃんの青春時代。どんなことがあったの?」
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