中日頃、はじめて来訪者が、修作にあった。沢辺が近づいてきて、「速水という人が、お前を訪ねてきた」とそう耳うちした。「ああ……」「批評家の知り合いか?」「いや、そうじゃない、ちょっと、以前に……」「なんだ、批評家かと思ったよ」「いやちがうんだ」沢辺はかたすかしをくったように、仲間のほうへと歩いていった。その名前には覚えがあった。だが、見に来てくれてありがとう、との連絡を結局とらなかった。いやとれな…
[連載]ノスタルジア
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小説『ノスタルジア』【新連載】森下 修作
【小説】アトリエは「廃屋寸前の破れ家」男が過酷な環境で創作を続ける理由
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