試験のあと福岡の叔父の家に向かい、結果の通知を待ったがなかなか来なかったので諦めかけていたら“化学合格”の電報を受け取った。だが機械工学科ではなかった。他の学科の中で工業化学科が選ばれたのはなぜか。電気工学、鉱山工学、金属工学などもあり得た。口頭試問の時の雰囲気から兄が工業化学科に在籍していたことが寄与したような気がした。いずれにしても薄氷を踏む思いの合格が政裕の丹波脱出を達成させてくれたのであ…
[連載]波濤を越えて
-
エッセイ『波濤を越えて』【第6回】芦田 政裕
大学に合格したが借金まみれで…戦後から間もなく、学生の苦境
-
エッセイ『波濤を越えて』【第5回】芦田 政裕
夏の日照りや冬の寒さに耐え、「重労働」に追われる田舎暮らし
-
エッセイ『波濤を越えて』【第4回】芦田 政裕
都会・福岡では味わえなかった…「丹波での田舎生活」の楽しさ
-
エッセイ『波濤を越えて』【第3回】芦田 政裕
度重なる空襲、そして終戦…少年が過ごしたせわしない日々
-
エッセイ『波濤を越えて』【第2回】芦田 政裕
戦時中の食糧難、さつま芋を盗んだことが家主にばれてしまい…
-
エッセイ『波濤を越えて』【新連載】芦田 政裕
私が生まれた頃。戦争、父のこと…断片的によみがえる記憶
- 1
- 2