二人は揃って廊下の突き当りにある水飲み場に行った。それからも沖田くんが何かにつけて突っかかるので、喧嘩が絶えなかった。その度に「顔、洗ってこい」、「校庭一周」などと罰を食らった。学期末には先生から、元気なのはいいが、もう少し女らしくできないかと親に注意があった。鳥取の人々は概して穏やかだったが、とくに女の人は控えめで、私のように男子に向かってポンポンと言い返す同級生は先ずいなかった。私は、「い…
[連載]昭和の残り火
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エッセイ『昭和の残り火』【最終回】横山 緝子
「私は恐怖を感じた」昭和二十七年、大火災が起きた日の出来事
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エッセイ『昭和の残り火』【第7回】横山 緝子
転校した私だったが、あんな学校は嫌だと言ってよく泣いた。
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エッセイ『昭和の残り火』【第6回】横山 緝子
私の読書遍歴の第一歩…『小学生全集』の思い出
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エッセイ『昭和の残り火』【第5回】横山 緝子
私は日常を忘れ、平成も昭和も一気に飛び越してしまった。
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エッセイ『昭和の残り火』【第4回】横山 緝子
山口県へ疎開…汽車はぎゅうぎゅう詰めで便所も使えない。
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エッセイ『昭和の残り火』【第3回】横山 緝子
軍国主義を嫌っていた父のもとに赤紙...東京大空襲を綴る。
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エッセイ『昭和の残り火』【第2回】横山 緝子
消息不明になった特攻隊員…人形を飾る度に思い出に沈む。
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エッセイ『昭和の残り火』【新連載】横山 緝子
父が遺した雑記を開いて明らかになった、「悔やんでいること」