「おい、キンちゃん。俺は東芝の従業員に出る冬のボーナスの全部を奪ってやろう、と思っている。キンちゃん、ちょっと手伝ってくれんかな」「えっ! 何、本気かよ?」「本気だ。課長から、あれだけ馬鹿にされたんだ。頭にきているよ」「確かに、頭に血が上ったな。でも……」「大丈夫だ。心配いらねぇ。任しておけ」その実行の日が1968年12月10日だった。朝から雨が降っていた。強奪の場所は、東京府中市の府中刑務所の…
[連載]「死」から「生」へ
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エッセイ『「死」から「生」へ』【第5回】三田 徹
会社にも警察が…板橋に対しては、なぜか甘い取り調べであった
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エッセイ『「死」から「生」へ』【第4回】三田 徹
板橋と金田は、いい仕事をしたが、頻繁に会社を休んだ
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エッセイ『「死」から「生」へ』【第3回】三田 徹
完全に崩壊…上層部の勢力争いで揺れた大企業の末路
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エッセイ『「死」から「生」へ』【第2回】三田 徹
綺麗事を言うんじゃないよ。車なんて売れてなんぼの世界だ!
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エッセイ『「死」から「生」へ』【新連載】三田 徹
生え抜き、プロパー、天下り…会社は大きく揺れ動いていた
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