暫く俯いて考えていたが実知がおずおずと顔を上げた。「先生の所で不登校が治ったという話が耳に入っていました。それでいつか先生に相談してみるしかないと考えていたのですが。でも、歯で不登校が治るはずがないとか、いろいろ言う人もあって……。困り切って養護の湯本先生に相談しました」「湯本先生が私を勧めることはちょっと考えられませんが、何と……」校医や学校歯科医がいて、医師会や歯科医師会との関係が深く、その…
[連載]溶けるひと
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小説『溶けるひと』【第4回】丸橋 賢
歯科業界の厄介者、三鶴草介(みつる そうすけ)。業界から煙たがられる彼だが、いざとなると......
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小説『溶けるひと』【第3回】丸橋 賢
わずかな可能性を信じて来診した母親。アトピーに頭痛・腰痛に不妊まで。専門医でもない、新興宗教と勝手なレッテルを貼られた歯科医に相談が募るわけ。
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小説『溶けるひと』【第2回】丸橋 賢
歯医者への相談事は、息子の起立性調整障害について。疲弊しきった母親は青ざめた顔で話し始める「とても元気な良い子だったんですが、急におかしくなってしまって......」
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小説『溶けるひと』【新連載】丸橋 賢
「変だな」歯医者の診療開始30分前。背中を丸め、困り果てた中年女性の姿が待合室に見える。歯科医に相談に来たのは、"不登校の息子"の母親?
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