「凄い光景ですこと。まるで私がされているみたいで恥ずかしい」
「幸姫は禊の泉に来るのが怖いのだそうだ。そなた達! 幸の禊の世話をしてくれぬか?」
「ええ~っ」
幸姫が小さな悲鳴をあげると、「は~い! 私達は喜んで幸姫様のお手伝いをさせて頂きます!」と朗らかに天女達が返事をした。
「いや~ん。姉上様の意地悪―」
「恥ずかしいことではない。龍神守の里に居た時に、我は姉上に身の回りの事や着替え等して頂いていた!」
羅技姫は、涙を流さなくなった幸姫を見て少し安堵した。そして天女達にウインクしてやると天女達はキャーと大喜びで奇声を発し、その様子に幸姫は思わずクスクスと笑った。羅技は幸姫の笑った顔を見て、ばれない様にそっと微笑んだ。
「姉上様は龍神守の里でも、この天上界においても皆にとても好かれておりますのね!」
「な~に! 我が変わっているから面白くて良いのだろうよ。そなたこそ皆に慕われているではないか。美しき舞いを舞いながら鈴の音の如く歌うそなたが、我は自慢なのじゃ! 赤龍の奴は最近そなたの様になれと五月蠅く言うのだ。初めて出おうた時、あやつは我が良いと言っておったのだが、どう足掻いても幸にはかなわぬ!」
「うふふ!」
幸姫は花のように笑った。