【前回の記事を読む】自分の住んでいる街に「信頼できる病院がない」ときの対処法
第一章 新グローバルスタンダード「文化」考
大麻
芸能人、力士、大学生などが大麻の吸飲で逮捕されたという事件がこのところ目に付く。大麻を栽培して自分で吸飲したり、販売して逮捕されたものもいる。あちこちの大学生が逮捕されたときなどは、勤め先の大学の学生は大丈夫だろうかと疑心暗鬼になる。
大麻吸飲は喫煙よりも身体に害がないという風説を耳にしたこともあるが、麻薬が身体にいいはずはなく、犯罪組織などが大麻を売りさばくために流した悪質なマーケティング情報かもしれない。
「大麻」と言えば私は右記のようなことをイメージしてしまうのだが、伊勢神宮をはじめとする全国の神社はそのようなイメージに大迷惑を被っているという新聞記事(『朝日新聞』、二〇〇九・六・六)を目にした。
神社界にとっての大麻は、神棚にまつるお札で、麻薬とは無縁の神聖なものだという。伊勢神宮のお札は神宮大麻と呼ばれ、毎年九〇〇万体が頒布されていたが、今では犯罪のイメージと結びつき、神職らも大きな声で参拝者に「大麻の頒布です」と話しにくく、頒布が伸び悩んでいるという。
そこで「大麻取締法」を「マリワナ等の取り締まりに関する法律」に変えてほしいと訴えたそうだが、関係当局は「大麻は大麻。法律名を変えるのは難しい」との見解だという。
また同記事は『広辞苑(第六版)』の「大麻」の定義を紹介しており、まず最初に「伊勢神宮および諸社から授与するお札」の意とあり、麻薬としての定義は四番目に挙げられていると解説している。
もしかしたらこの解説は、権威ある『広辞苑』の一番目の定義が「神棚にまつるお札」になっているのに、四番目の定義の「麻薬」の意で用いられているのは気の毒ではないかという視点から書かれたのかもしれないが、実は辞典の編集方針は二大別することができることに注意すべきであろう。