ラグビーワールドカップ2015 南アフリカ戦日本代表の歴史的勝利に最大限の喝采を
泣いた。人目を憚ることなく泣いた。
世界一の実力を持つに違いない南アフリカ相手に、堂々と臆することなく対峙しただけでなく、勝利という信じがたい結果で我々の予想を鮮やかに裏切って見せた。世界的弱小チームが、弱小時代の指導者や選手の努力を礎に、様々な関係者の努力でここまで強くなったのだ。
一昔前は、南アフリカは圧倒的に強かった。55mのペナルティキックを決められるウーゴ・ポルタを擁するアルゼンチンでも、南アには勝てなかった。また、並外れた突破力を持つセンターのジョナ・ロムーを擁した、ニュージーランドのオールブラックスも、勝てなかった。
当時、ジャパンは、オールブラックスに100点ゲームで負けていた。一方、ジャパンの当時の競争相手は、フィジー、トンガ、アメリカ、カナダなどの国々だった。ただ、その頃のチームに優れた選手がいなかった訳ではない。
大学選手権3連覇を果たした同志社大学の中心選手、平尾誠二、大八木淳史なども、この頃活躍した選手だった。更に遡れば、惜敗に終わったが、松尾雄治、林敏之たちが敵地カーディフに乗り込んだウェールズ戦では、24─29の善戦を見せ、5Nationsを相手に互角に戦える事を印象付けた。
さて、南アとの試合を通じて、目頭を熱くさせた幾つかの光景を振り返ってみよう。興奮は、淡々と始まり、そして徐々に高まり、そして、最後に頂点に達した。順番に記してみよう。
(1)ひたむきな、かつ効果的なタックルにより、2~3回しか一線防御の突破を許さなかったこと。
(2)キッカーの素質に優れている五郎丸歩へ、他の選手が全幅の信頼を寄せ続けるよう、極力ゴール正面付近でペナルティを獲得するような試合運びをしたこと。
(3)試合終了直前、敵陣ゴールラインに迫り、ペナルティを得たジャパンが5mスクラムを選択したこと。
この時、私の目から大粒の涙がこぼれ落ちてきた。「ああ、ジャパンの選手たちは、勝てるという確信を持っているんだ。何と素晴らしいことだろう!」と……。
ここからは、少しラグビーを知っている方々に共感をお願いしたい記述になるが、一言で言えば、「フロントロー右プロップの畠山は、よく敵のもの凄いプレッシャーに耐えた。そして、残りのフォワード7人も、何とかスクラムを回されないように力を振り絞った」ということだ。
このフォワードの頑張りにより、ポイントを中央に移動することに成功し、敵防御を絞らせにくくした結果、あの見事なトライに結実したのだ。まさに、All for One,One for Allのトライだった。今日の試合を見た人は、皆確信したことでしょう。皆さん、世の中に困難なことはあっても、不可能なことはないのです。
それを、今大会初戦のジャパンは見事に証明してくれました。ただ、不可能を可能にするには、実現した暁に見える光景を、ありありとイメージできることが必要です。身近にいるRole Modelとなる人の力も借りながら、自分ができる最良のイメージトレーニングを始めましょう。