イニシアチブ参加で高める国際発信力

エネルギー生産性の向上に絡んだ国際イニシアチブ

ここでエネルギー生産性の向上を主たるテーマとした国際イニシアチブである「EP100(Energy Productivity 100%、エネルギー生産性100%)」という構想を紹介します。この「EP100」は「RE100(Renewable Energy100%、再生可能エネルギー100%)」「EV100(Electric Vehicles100%、電気自動車100%)」と同じく、英国に本部がある国際環境NGOのThe Climate Group(略称:TCG)が運営する活動です。日本側の窓口は日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)という組織が日本企業の構想参加を支援しています。

EP100を企業が宣言・署名するためには、以下の3つの要件のうち、どれか一つを満足させる必要があります。

①エネルギー管理システム(EnMS)を実装すること

②エネルギー生産性を2倍にすること

③ネットゼロカーボンビル(ZEB)を運営・所有・開発すること

第一要件のEnMSとは、Energy Management Systemのことであり、その実装とはエネルギーを定常的に管理できるシステムを10年以内にグローバルで導入することを約束することとなります。このEnMSは、脱炭素経営への転換に向けて必須のインフラであると筆者は考えているので、その細かい内容については後ほど詳述します。

ここでは二番目の要件であるエネルギー生産性を継続的に改善し2倍まで向上させるために、その達成進捗状況を確認するためにも、EnMSは必須なものであり、ある意味企業の「体重計」のようなものだと理解してください。

次に第二要件では、自社で適切に設定したエネルギー生産性(EP)を、2005年以降を基準年として、そこから25年以内にEP指標を2倍にすることを約束する必要があります。最後の第三要件のZEB(Net Zero Energy Building、CO2の排出が実質ゼロのビル)については、2030年までに稼働中のZEBの資産を所有、管理、占有することを約束することになります。これらのEP100に署名・宣言するための3つの要件を図にまとめると、図表1のようになります。

[図表1]EP100を宣言するための3つの要件