堀内は「ロケットエンジンはすでに開発がほぼ終わっているし、宇宙船は大型の箱を造るだけですから、大した時間もかかりませんし問題なく作れると思います」
伊藤は「コンピューターはすでに理論的には完成の域にあります。あとは宇宙船の中で何千年何万年にも亘って人間と共に過ごせる能力を持たせることですが。何とかなる気がします」
「織田さん、やれそうですが本当にやりますか」
「残り少ない人生ですから、棺桶に入るときに、やらずに後悔するよりやってだめで後悔する方がましだよ」
「そうだ。一度だけの一回限りの人生だからな」と、誰かが言うと、中本が「何万年も生かされ、その中で200回も再生のたびに身体だけ死んだり生きたりしなくてはならない、それなのに人生としては1回だけですか?苦しいだけかもしれないよ」と、反論した。そして、この答えは2万年後に出ることになる。ORIONS計画の始まりである。
ここでORIONS計画の頭文字のいわれについて説明しておこう。
ORITA 織田 この計画の統括者で6人の主人のまとめ役
RISUKE HORIUTI 堀内利助 ロケットの研究家
ITOU 伊藤 コンピューター研究の第一人者
OOKIKUDAIGAKUの星野大菊大学の天文学教授
NOUGEKAの本多脳神経外科で神の手を持つと言われる世界的権威
SAIBOUの中本iPS細胞の応用技術で人体再生の研究者
この6人の天才たちが、神の領域に踏み込んだロマンを展開する。頭文字からORIONS計画と名付けられた。大宇宙冒険計画の始まりである。ORIONSオリオン座の左隣、冬の大三角の中にあるクガニタチ星と、昔から言い伝えのある右側のアルタカ星、その第3惑星AL─3を目指す。