デジタル化が新たな省エネルギーの手段になる
省エネルギー・エネルギー効率化を効率的・効果的に進める上で課題となるのは、一見当たり前のことですがエネルギーという代物が目に見えないということです。
見えないが故に、それを削減し効率的に利用しようと設定値の変更や投資による機器更新など、何かの方策を実行しても、その効果・結果がはっきりと分からないのです。結果が分からないことを実行しようとすると、企業であればその実行の許可をどう取っていくかという点が大変悩ましく、ついつい現場の日常業務の忙しさにかまけて何も行動を起こさないとなってしまいます。
まず、「見える化」するべしというのは、省エネルギー・エネルギー効率化を進める上での大前提とすべきところですが、この「見える化」にも一定の投資が必要となり、その投資も費用対効果が明確でなければ、なかなか実施稟議が下りないものです。
今後、企業が脱炭素化を本格的に進めるのであれば、まずはこのエネルギー関連のデータ把握による見える化が前提になりますので、そのための投資は単なる費用対効果を超えたレベルでの意思決定が必要になります。
もちろん、見える化に投資することによって、さまざまなムダ・ムラ・ムリと言われる「3M」が分かり、それらを改善すればエネルギーコストの削減にもつながりますので、決して回収できない投資ではありませんが、投資を決定する時点で、どの程度の削減が可能であるかの試算が難しいので、そのあたりで話が頓挫することが多いことになります。
筆者として、今後、脱炭素経営に舵を切ろうとしている経営者は、現場レベルから始め、会社全体、あるいはグループ全体のデジタル化を推進するのであれば、このデジタル化投資の一環として、エネルギーの見える化も組み込むことを強く推奨したい。
効率的な投資決定というのは、常に「一粒で二度、三度美味しい」という発想が大切ですが、今後、企業として避けて通れない業務のデジタル化において、エネルギーデータの取得から見える化についての効果も必ず含めるようにすべきと考えます。