「絞り切った雑巾論」は本当か?
前項に示した図から、今後、企業が脱炭素化を進める上で、省エネルギー・エネルギー効率化の余地はあまりなく、それ以外の手段として再生可能エネルギーに頼るしかない、あるいは炭素利用・固定化(CCUS:Carbon dioxide Capture andStorage)や水素活用などの新しい技術開発を待たなくてはならないという他力本願的な論調が最近喧しくなっております。
決してその議論そのものが間違っているということではありませんが、安易にこのような結論に至るのは拙速ではないかと筆者は危惧しております。なぜなら、前述したように省エネルギー・エネルギー効率化はエネルギー問題を取り扱う時の基本中の基本であり、わが国が今後脱炭素化を進める上での基盤であるべきだからです。
この基本を押さえ具体的な行動につなげていく努力や投資は、どこまで行っても終わりがなく継続しなくてはいけないというのが、筆者の強い主張です。
例えば、人間に喩えると分かりやすいかもしれません。少しメタボで困っている人を想像してください。なんとか体重を絞って体脂肪を落とし、メタボ解消の努力をしている場合、やはり毎日体脂肪も測れる体重計に乗ってチェックすることが重要になります。週末等で少し気を緩めて暴飲暴食すると、翌週には即体重増として結果が出てしまいます。
企業においてもまったく同じではないでしょうか。今まで徹底した省エネルギー・エネルギー効率化をやってきたと言っても、担当者が変わったりして少し気を緩めると増エネルギーになってしまう。毎日とまでは言いませんが、やはり最低でも週次・月次ベースでのエネルギーの消費量や利用状況は必ずチェックしておきたいものです。