あこがれのあなたに
固く食い縛った歯をこじ開けて
舌をねじ込む、まるで悪い男のように
長くあこがれたあなたとの愛撫は
雨の夜にこのようにして始まる
呼びさまされた欲情に抗議するように
突然あなたは噛みつく
酒のせいじゃないのだ苦しい思いを述べるのは
赤い夜会服のきみにとりこになったからさ
魔法にかかったみたいに
小雨に濡れながらあなたを抱くと
あなたは次第に素直になって行く
あなたの溜め息が僕を呆然とさせる
荒い息をして「くやしい、あなたに負けて」と言う
僕を魅した、生意気な女のあなたよ
愛とはそういうものではないのだ、
もっと別のものだ──