俺はインターネットで仕事を探し始めた。いくつも仕事はあったが、俺の目的とするような、金の稼げる仕事はそう簡単に見つからなかった。

まともな仕事で、手っ取り早く金を稼げるなんてことはないと諦めかけたときに、目についた仕事があった。金融商品を勧誘する仕事だった。インターネットのホームページで見る限り、それほどいかがわしいようには思えなかった。立派な仕事のように思えた。

早速、俺はその求人に応募することにした。その日のうちに会社に来るように連絡がきたので、その会社に出向くことにした。担当者は立派なスーツを着た男で、豪華なパンフレットを見せてくれながら、仕事の説明をした。

その説明によれば、会社から指定された家に行き、その豪華なパンフレットを見せながら高額な金融商品を売る、という仕事だった。商品説明のためのマニュアルもしっかりと完備されていた。

「あとは、君の熱意が相手に伝わるかどうかだ。この商品はお金持ちの人にとってはとても興味深い商品だから、君が相手に気に入られれば、必ず買ってもらえるよ。どうする? やってみるかい?」

と尋ねられた。一口が百万円もするこの商品が、担当者の言うように簡単に売れるとは思えなかったが、指定された相手は、俺には想像もできないような金持ちばかりだった。

ただ、報酬は良かった。一口売れるたびに三十パーセントの金が入ってくるということだった。多少の胡散臭さはあったが、立派な名刺を作ってくれると言うし、その名刺には本名でもいいし、好きな名前を使ってもいいと言われた。本名を出したくない俺にとっては好都合な仕事だった。担当者が、最後に言ったことが多少は気になってはいたが。

「いいかな、この仕事は見切り時が大切なんだよ。ある程度売ったら、すぐに会社の名前を変えてしまうし、君にも別人になってもらう必要がある。こちらから指示があったら、二度と、顧客の所に行ったりしてはいけないよ」

社会的にやばい仕事なのかもしれないとは思ったが、人生を変えたいと思っているのだから、ちょっとのリスクにひるんではいられない。俺はこの仕事をやることにした。