私が精神障害者であることを打ち明け、「何とかフルタイムで頑張っているよ(※精神障害者は基本的に疲れやすく、長時間勤務には向かない)」と笑うと、千夏も精神安定剤の薬を飲んでいることを打ち明け、

「凄い頑張っているね」

と理解を示してくれた。その仕事の内容について、彼女に聞かれたことがある。

「お仕事は何してるの?」

「最初の会社で施工管理、次の会社でプログラマーとCADオペレーター、今は印刷業の製版だよ!」

「え、CADとか頭良すぎ、私中卒だよ」

千夏はコンプレックスに陥っていた。投資は天才だが、仕事に関してはあまり経験がないらしい。

「もし、投資が禁止されたら、自分が千夏を守らなきゃ」。

そう思わされた瞬間だった。私は、コンプレックスを話せば、当然女性は興味を失うものと考えていた。しかし、あとで逢ったときにすべてわかってしまうだろう。だから、恐る恐る「身長」の話を千夏にした。

「逢ったらわかるけど、私は161cmしかないチビだよ(汗)」

「私もチビだよ。157cmしかない(泣)」

驚いた。私が想像していた答えは、「低いね(泣)」だったからだ。男にしてはだいぶ低い身長であった私は、これで千夏が私に興味を示さなくなることも覚悟していた。私の意見では、女性が157cmあれば、「チビ」ではないはずだ。私の母も157cmだった。

しかし、話を合わせてくれたのか、また170cm欲しかったのか、彼女の反応に驚きを隠せないと共に、何でも受け入れてくれた彼女に安心感を覚えた。私はかねてより、恋人ができたらハワイのビーチで一緒にバカンスしたいと思っていた。それを千夏に話すと、「私はセブ島に行きたいな」と言った。

セブ島? 急いで調べると、フィリピンのバカンスの島のようであった。彼女に、「東南アジアのハワイみたいな感じ?」と聞くと、「たぶんそうだよ!」と話を合わせてくれた。

「ハワイに行くなら、バイナリーでお金を貯めないとね」

「そうだね(汗)」

「旅費で40万円、買い物で10万円もあれば充分満喫できると思うよ」

この会話のなかで、千夏の知識の広さにビックリし、また、千夏とハワイやセブ島に行ったらどうだろうと、ノロケてもいた。千夏は、「バイナリーの合間に英語を勉強しようかな」とこぼしたことがあったが、海外旅行に行きたい願望が一つの要因だったのかもしれない。