ストレス解消や爽快感も面白さの一つだが、銃の魅力はなんといってもやはり男のロマンではないだろうか? 誰でも子どもの頃、いや大人になっても一度くらい銃に憧れると思う。
あの黒く重量感ある鉄の塊に子どもの頃は「格好良い!」と憧れたわけで、モデルガンをつくってみたり、空気銃を買ってもらったり、僕もありとあらゆる銃を手に入れたけれど、やはり本物に比べたら所詮オモチャに過ぎない。
僕の飽くなき欲望は本物へと掻き立てられたわけだが、日本はある特殊な職業の方々くらいしか銃は持てない。素人が持てるのは散弾銃で、それを手にするための煩雑な手続きや試験をクリアして、やっと本物を手にしたときにはたまらない感動があったし、頬ずりしたくなるほど嬉しさがこみ上げてきた。見て良し、撃って良し、本当にたまらない。
実際に初めて射撃したときは、あの小さな散弾がこんなに反動を与えるんだと驚いた。どのくらいの反動かと言うと、道を小走り歩いて反対側から来る人の肩にドンと当たるよりやや強めの感じだ。だから銃床と肩付けと頬付けをしっかりしないと身体ごと反り返ってしまう恐れがある。そのくらい威力のあるモノなのだ。
1回、2回と射撃場で撃つに連れ、慣れてくると的にも当たりが多くなってくる。コツは的に対し見越し射撃を行うことだ。クレーの的は180度の射界のあらゆる方向に時速80キロメートル以上の速さで飛んでいくわけだから、飛んでいる的に照星をドンピシャで当てても、引き金を引いたときには的は動いているので当たらない。的が飛んだ瞬間の角度を見極めて、素早くその方向に銃身と照星を動かして行く。照星が的を通り越した瞬間くらいで撃つ感じだ。
ドラマや映画などで、射撃の際、よく片眼を閉じて撃つシーンがあるが、クレーの場合は両眼を開けて撃つのが正しい。僕は癖で左眼を閉じて撃ってしまう。そのせいで左側の射界を捉えることができないので左に飛ぶ的を外しまくる。成績が殆ど上がらなかった原因だ。
そんなある日、射撃場でクレー射撃のプロの方に少し教えてもらい、「左側の眼を薄めでもいいので開けて撃ってみたら」と言われた。その通りにしたらまさかの25点中の23点という自己新記録を叩き出したのだ。
プロは凄い。ほんの少しのアドバイスでこんなに変えてしまうのだから。それからは射撃も安定してきて満足する射撃ができるようになった。散弾銃を使うクレー射撃は奥深く、25点満点はオリンピック選手でもなかなか出ない。プロでも素人でも自分の技量を楽しみつつ競う、そんなスポーツだ。