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不運なことが多すぎる

初めての労災

まだこの仕事を始めて間もない頃、夜勤をしていたときの話だ。Kさんの起床介助をしようと朝方居室に入り、ベッド下の引き出しから着せる洋服を選んでいた最中のこと。

屈んでいた僕の膝の上に、寝返りをうったKさんがドーンと落ちてきたのだ。その弾みで膝はあらぬ方向を向いて激痛が走った。Kさんは僕の膝と引き出しの洋服がクッションがわりとなったため何の怪我もなく良かったのだが、僕は身悶えた。痛くて堪らないのだ。

足が動かないので匍匐前進しながら居室をなんとか出て、助けを呼んだ。隣の寮の女性職員がたまたま支援員事務室にいたので何事かと来てくれた。僕はかくかくしかじかと説明し、彼女は車椅子を持って来てくれた。

やっとのことで座ってみたが、膝は青く腫れていた。その後の業務は早番さんに任せ、彼女は夜勤明けにそのまま僕を整形外科に連れて行ってくれた。診察したところ、幸いにも強い打撲で済んだ。全治1週間で安静にしていれば治るとのことだった。

追って職場の総務課職員からは電話があり、「労災ですね」と言われた。僕がA障害者施設初めての労災だとも言っていた。仕事中の怪我は労働災害扱いになるのだと初めて知ったが、その後も僕は労災を受けること多数に上ることになる。

流行り目

仕事を始めて3年目の秋に、A障害者施設でお祭りを行うことになり、両親を招待した。すると母は行く前に僕のアパートを掃除してくれるという。別に断る理由もないのでお願いしたのだが、午後になってから施設に来た母は、しきりに目をパチパチとつぶっているのだ。
「どうしたの?」と聞くと目がチカチカすると言ったが、出店などあるから楽しんでいってねとだけ告げてその場を後にした。

お祭りが終わり、片付けをしてアパートに帰ると部屋はピカピカだった。冷蔵庫を開けると惣菜なども入れてあり、感謝しつつそれを食べた。疲れもあったのでシャワーを浴びてすぐに寝た。

朝、起きると目に違和感があった。目のなかがゴロゴロチカチカして少し痛い。仕事だったので出勤はしたが、仕事中も目の違和感はどんどん酷くなっていく。車の運転も危ないくらいだ。

家にある目薬を差してその日は眠ったのだが、次の日は片目に目脂がびっしりとあり、目が開けられない。これはただごとではないなと思い、施設の看護課に行って看護師さんに診てもらおうと車を走らせた。

着いてすぐ看護課に行き、入り口で目がこんなことになったと伝えると、看護師さんが看護課に、

「入らないで! 外に出て!」

と言った。外というのは廊下でなくて玄関の外である。看護師さんがゴム手袋をして僕の目を診た。

「ああ、これはもしかしたら流行り目かなぁ」

「それ何ですか?」

聞くと流行性角結膜炎という病気で、凄い感染力であっという間に拡大するから眼科に行けと言われた。看護師さんは僕が触ったドアノブなどを消毒用アルコール綿で拭いていた。

「でも、今日は日曜日だから病院どこもやってないんだよね」

と独り言を言いながら車に戻り家路についた。月曜日になり職場に電話して流行り目かもしれないので出勤前に病院に行って来ますと連絡する。近くの眼科に行くと、すぐに診てもらえた。