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第5章 相続、再び
調停委員の1人が出席者全員の顔を確認して、私達側から発言するように指示してきたので姉が座りながら話を始めた。
「最初に、私どもが準備した戸籍等の書類をご覧ください」
そう言って、姉が準備した書類を調停委員に提出して、全部の書類を2人の委員が確認したのを見届けた後で話を再開した。
「その全部の書類を確認していただいて分かる事は、今日から3ヶ月前に江藤光夫さん、旧姓 赤羽光夫さんが死亡されている事。そして江藤さんが、26年前に現在の妻である江藤金子さんと再婚して赤羽の姓から改名している事。そして私の隣に座っている薬師雄二さん、旧姓 赤羽雄二さんが、24年前に赤羽の姓を改名している事。そして、江藤光夫さんが赤羽光夫さんと旧姓を名乗っている時期に、雄二さんの隣に座っている薬師ひろみさんと最初の結婚をして、雄二さんを自分の長男の子供として戸籍に登録している事。
つまり、江藤光夫さんと薬師雄二さんは実の親子である事が証明でき、江藤光夫さんが死亡した時から、光夫さんの遺産相続の権利を有するのは、妻の江藤金子さんと実子の薬師雄二さんの2人となり、相続対象者に2分の1ずつの遺産分割をされなければいけないはずなのに、私どもが調査した結果によると、妻の金子さんが江藤光夫さんの全遺産を、実子の雄二さんの承諾を得ないで相続する手続きを勝手に実施して、終了されているのを確認しております。
その後でありますが、光夫さん名義の未処理分の金額で、6万円を発見する事ができました。そこで、妻の金子さんが全遺産を相続された事は無効であり、見つける事ができた未処理分の遺産と相続された全遺産を合算してから、2人の相続対象者に2分の1ずつ分割する遺産相続のやり直しをするのが、法律に照らし合わせても適正であると考えています。調停委員の方々はどう思われていますか?」
それを聞いて、調停委員の1人はこう言った。
「まだ江藤さん側の主張を聞いていないので、何も言える事はありません。それでは、今から江藤さん側の主張を開始して下さい」
それを聞いて、江藤さん側の弁護士は、眼鏡のふちを1回触ってから主張し始めた。