高速道路と同じ高さのデッキに初夏の陽光が燦々と降り注いでいる。なるほど、下りは怖い。灼けている手すりに掴まって下りきる。工房の入口の明るいところで板切れとメモを視て、奥の男のところまで行って
「言うとおりにやってあげて」
静かな物言いである。
「あの。割り込んじゃってすみません」
とその方にまた挨拶する。今すぐじゃなくてよかったんだが、なんか余計なこと言わない方がいいみたいだ。誰も、言いつかった男も、手も止めず口も利かない。怒っているのでもない。板を裏表、斜、杢目を視たり定規を当てたり、大きなテーブル状の機械を調節したり。ただの不愛想なんだと思うことにする。
事務所の男は傍で見ていただけで、カットされた板切れを持ってきてメモと突き合わせてから丁寧にトートバッグに戻し、こちらが満足して大きな財布を取り出しているから
「じゃあ二千円貰おうか」
「プラスお礼の気持ち」
四枚押し付けて
「その十倍くらいありがとう」