二人のそれから

※ 投稿者  順調に交際を重ねて明日挙式を控える 二九歳

結婚式前夜に脳裏をよぎったことは……

もしかして僕が 例えば二十年後に 

今よりももっと しわの数が増えて

今よりももっと お腹がたるんできて

今よりももっと 後輩への文句や愚痴が増えて

今よりももっと 給料の低い子会社に飛ばされたら

要するに 僕が 現在のレベルを維持できなくなって

僕のマイナス面が 目立つようになってしまったら

あなたは こんな僕でも 

今と同じように 「愛している」と言ってくれるのかな

あなたの気持ちは 枯れてしまわないだろうか

もしかして そんなときに

例えば 同じオフィスで 

僕よりももっと イケメンで性格も良くて 

僕よりももっと 長い時間顔を突き合わせて 相談や打合せや世間話を重ねて

僕よりももっと 苦楽を共にしながら 

僕よりももっと 刺激的で達成感に満ちた 大きなプロジェクトを成功させたら

次第に あなたとの距離が縮まって 深く信頼し合う同僚が現れたら

あなたは こんな僕でも 今と同じように 「愛している」と言ってくれるのかな

あなたに 新しい気持ちが芽生えてしまわないだろうか 

そうならないように これからも自分を磨いていくつもりだけど 

いまひとつ自信はないよ 

でも 逆のことだってありうる

この詩の「僕」と「あなた」を そっくり入れ換えてみたらどうだろう

僕は浮気せずに あなたを一生愛し続けていられるのかな

むしろ こっちの方が可能性は高いかも……