世界平和よりセックス
※ 投稿者 勤務先は「大学生の就職希望企業ランキング」で一位 二七歳
テレビのニュースは
内戦と飢餓に苦しめられている 発展途上国の難民キャンプの近況を伝えている
栄養失調と伝染病が蔓延して 瀕死の孤児たちが映し出されている
地雷で両足を失った少女たちが
錆び付いた病院のベッドの上で 生気を失った瞳をこちらへ向けている
僕は自宅のソファに深く腰掛け 両足を投げ出し その映像を ただ眺めている
ふと思った
もし今 裸で君が横に座っていたら 僕はどうするのだろう
世界の惨状に心を痛め 人類の行く末について語り合うのか
それとも 君の背中に手を回して押し倒してしまうのか
悲劇のニュースを尻目に きっと僕は後者を選択してしまうだろう
多少の引け目を感じながら
報道番組を見て これからの世界を案じながらも
ふと 知的な女性アナウンサーが 君にどことなく似ていると思った
すると アナウンサーの赤い唇と ピンク色のスーツの下の胸の膨らみが
やけに気になる 僕は無性に君に会いたくなった
また ふと思った
もし今 君にフラれたら 君を失ったら 僕はどうするのだろう
きっと 「核戦争が起きたって構わない 人類が滅亡したっていい」なんて
やけっぱちになるのだろう
君との関係がギクシャクしている時に 他人に優しくなんてできるのだろうか
地球の裏側にある国々で
空爆に脅える 飢えた人々に 思いを馳せるなんてできるのだろうか