科目を選択する際に、すべての生徒がこうしたことまで考えているとは思えないが、少なくとも将来のキャリアを考えて科目を選ぶことが重要だというメッセージにはなるだろう。
相談会は午後5時過ぎに始まった。生徒と保護者が次々に集まり、ブースを回っている。資料を見ながら親子で相談したり、教師に質問したりしている。教科によっては実演してみせるものもある。さながら企業の説明会か新製品の発表会のようだ。教科間の履修者獲得競争のようでもあり、見ているだけで楽しい。保護者も生徒も概して真剣だ。
説明会が終了したのは午後8時前。昼間とは異なる雰囲気に包まれた時間だった。親子で子どもの将来を考えて履修科目を決めるということは日本ではあまりない。中学生の段階で将来を考えて科目を選択することもほとんどない。そもそも、日本は選択科目の幅が狭く、あったとしても自分の好きな分野を選んだり、友人と同じものを選んだりすることが多い。キャリアに直接結びついた学習も少ない。進路学習は学級活動の時間などに抽象的な形で行われることが多い。
生徒にとって将来は漠然としたものでしかない。現在の学習が自分の将来にどう結びつくかを考えながら科目を選択し、学習に取り組むことは重要ではないかと思う。