評価するのは学力
学業成績はスコア・レポート(Score Report)と呼ばれる成績表として、家庭に通知される。
評価は授業を通して習得した知識や技能に関して行われ、筆記試験や口頭試験、実技試験、研究課題、レポート、プレゼンテーションなどが対象となる。
前記のように、何を評価対象とするかは年度当初に明示され、それ以外の要素が加味されることはない。基準も明示される。だから、生徒は目標を明確にして学習に取り組める。
日本の学校でも相対評価から絶対評価に変更されたり、観点別評価が導入されたりして、評価方法はかなり変わってきている。パフォーマンス評価も取り入れられ、昔のように筆記試験だけで評価されるということは減っている。評価規準をシラバス等で明示する学校も増えている。
評価についてかねてから疑問に思っていたことがある。「授業態度」というものだ。
日本では、試験や課題の他に、授業態度が評価項目に含まれることが多い。よく手を挙げる、発言が多い、授業にまじめに取り組んでいる、教師の話をしっかり聞いていることなどが良い授業態度とされる。そして、成績に加点される。逆に、発言が少ない、授業に集中していない、私語が多い、忘れ物が多いと減点される。手を挙げる回数や、注意を受ける回数を記録して、教科の成績に加味する教師もいる。
成績会議の際に、「忘れ物が多いから減点した」「授業態度が悪いから成績を1段階下げた」と言う。「あんな態度で5(最高点)が取れたら、まじめに授業を受けている生徒がかわいそう」と言う教師もいる。態度の悪い生徒に良い成績はやれないということなのだろう。
だが、忘れ物や授業態度、積極性などは本人の特性であって、教科の能力ではない。また、良し悪しの判断は教師の主観に左右されがちだ。
教科の学力と直接関係のない要素を評価に加えることに合理性はあるのだろうか。評価は教科そのものについて行うべきではないかと思う。