高校生が大学の授業を受ける

大学と連携して、ハイスクール在学中から大学の授業を受ける先行履修プログラムを実施するハイスクールが増えている。その中で、教員志望の高校生が、在学中に大学の教員養成課程の授業を履修し、卒業後そのまま大学に入学するプログラムを実施する学校がある。

クイーンズランド州の低所得地域にある複数のハイスクールで、州内の大学と連携し、教職を希望する11年生と12年生を対象に、教員養成課程に進学するためのプログラムを実施したのだ。

対象となるのは学業優秀かつ学校長の推薦を得た生徒で、養成課程の1年次の科目を高校在学中に履修する。授業は週2日、放課後に在籍校で行われ、大学と高校の教員が連携して行う。数回は大学のキャンパスで大学生と同じ授業を受ける。大学の施設やオンラインデータも利用できる。

2年間で4科目を履修し、2科目の単位を取得すれば大学の入学資格が得られる。取得した単位は、大学入学後の単位に算入されると同時に、高校の卒業単位としても認められる。学費は大学が負担し、困窮家庭の生徒には奨学金も支給される。

同プログラムは2008年に開始されて以降、履修者の数は年々増加していき、現在も、教員養成以外の分野と統合した先行学習プログラムとして継続されている。

生徒の活動が中心

オーストラリアでは教師が一方的に「教える」という授業は少ない。授業は一斉指導と個人指導で構成されるが、後者の割合がはるかに多い。最初に教師が説明したあと、生徒が個人でワークシートに取り組んだり、グループで活動したりするパターンが一般的だ。

一斉指導も、教師と生徒、あるいは、生徒同士のインタラクションで進められる。教師がひたすら話し、それを生徒が黙って聞くということはほとんどない。生徒もよく発言する。躊躇することなく自分の意見を言い、反論もする。概して自分の考えを発表したがるようだ。授業の大半は生徒の活動で、先生は必要に応じてアドバイスする黒子のような存在だ。