盛んな習熟度別指導
多くの学校で習熟度別指導が行われている。同じ教科の中でレベル別に複数のクラスを設定し、生徒はそれぞれのレベルに合うクラスで授業を受ける。以下の図はあるハイスクールの英語と数学のカリキュラムだ。
この学校はすべての教科で習熟度別学習を実施している。どのレベルを履修するかは生徒個々の学力が基本となるが、それ以外にも、興味関心、進路の希望、学習スタイルなど様々な要素が勘案される。学力が高いからと言って、常に高いレベルのクラスになるとは限らない。
選択に際しては保護者、ガイダンスオフィサー、教科担当などとの相談も行われる。履修中も、学習相談がこまめに行われ、上級学年の生徒の助言なども得られる。
学校によっては、通常のクラスとは別に、ハイレベルクラスや速習クラスを設定し、試験などで生徒を選抜しているところもある。「アカデミックエクセランス(Academic Excellence)クラス」とか「ハイアチーバー(High Achiever)クラス」など名称は様々だ。習熟度別学習は小学校で特に盛んだ。
私が訪問した学校では、単元ごとに人数を変更したり、単元の途中でも生徒を入れ替えたりしていた。習得が急に早まる生徒もいれば、逆に、学習につまずいたまま先に進めない生徒もいる。担当教師は不都合が見受けられると主任教師に相談する。主任教師は状況を見ながら人数を調整する。
学力だけでなく、生徒間のトラブルでクラスを別にした方がよい場合もある。情緒面や人間関係も考慮が必要だ。クラスを固定化せず、臨機応変に対応できることはいじめ対策にも有効かもしれない。