帽子をかぶらないと外で遊べない
オーストラリアは紫外線が強いので、皮膚がんの罹患率が高い。紫外線を吸収する大気圏のオゾン層が薄いため、有害な紫外線を浴び過ぎるからだ。それゆえ、学校でも紫外線対策が徹底されている。対策の一つが帽子の着用で、法律で義務化されている。
小学校では帽子が制服の一部にもなっており、「ノーハット・ノープレイ(No hat, No play)」を合言葉に、帽子をかぶらない子どもには外遊びをさせない指導がなされている。帽子はつばのあるものが原則で、首の後ろまで隠れる帽子をかぶっている。サングラスの着用や日焼け止めの塗布も推奨されており、教室に日焼け止めが置いてあったりする。
屋外の一部に日よけが張られている学校は多い。オーストラリアがん防止協会の「スリップ・スロップ・スラップアンドラップ(Slip, Slop, Slap, and Wrap)」というスローガンが掲示してあるのを見たことがある。スリップは「長袖の上着を着る」、スロップは「日焼け止めを塗る」、スラップは「帽子をかぶる」、ラップは「サングラスをかける」という意味だ。
厳しい服装指導
日本の教師にとって難しいのが服装指導だ。生徒とぶつかることも多い。私が教員だったころは、スカート丈、ズボンの太さや着用のしかた(ずらして着用しないなど)、ベルトの色、上着の丈、靴下の長さ、Tシャツのデザインなど、実に細かい指導が行われていた。物差しを持ってスカート丈や靴下の長さを測る教師もいた。下着の色や素材についても注意していた。
今はどうなのだろう。新型コロナウイルス対策のマスクの色が話題になるくらいだから、あまり変わっていないのだろうか。オーストラリアも服装指導は厳しい。現地の学校に留学していた学生が口を揃えて言うのが指導の厳しさだ。オーストラリアでは制服のある学校が多く、着用のルールも細かく決められている。細かさは日本の比ではないように思う。
だからなのか、「異装」や着崩しはほとんどない。「改造」もありえない。日本で見られる超ミニスカートも見かけないし、「腰パン」にも出会わない。そもそもオーストラリアの子どもたちは、「異装」や着崩しにそれほど関心がないように見える。制服で自己主張しようとは思っていないようだ。自己主張の場は別のところにあるのだろう。