大学に入るには
大学に進学するためには、「大学入学ランキング得点(Australian Tertiary Admission Rank:ATAR)」を取得する。
オーストラリアの大学は個別の入学試験を行わず、中等教育修了時に受ける統一試験の結果と学業成績から算出されるATARによって選考する。
各大学は学部・学科ごとに「足切り」となるATARの得点、英語力や専攻分野ごとの基準などを提示しているので、それを参考にして入学願書を提出する。入試の手続きはすべて大学入試センター(Tertiary Admission Center)が行う。
近年は国際バカロレア(1968年にスイスで設立された非営利団体による国際的な教育プログラム)を実施する学校が増えているが、バカロレアを履修した場合はその成績がATARに換算される。
海外から留学する場合は、母国で取得した学位や単位を互換することもできる。
全国統一のカリキュラムが始まった
教育に関する責任を州が有するオーストラリアでは、これまでは州ごとに異なるカリキュラムが実施されてきた。
しかし、全国統一化の流れの中でカリキュラムも全国共通のオーストラリアン・カリキュラムが作成され、すべての州で導入されている。
オーストラリアン・カリキュラムは、2008年に設立されたオーストラリア・カリキュラム評価報告機構(The Australian Curriculum,Assessment and Reporting Authority:ACARA)が開発を担っており、それまで州ごとに開発されていたカリキュラムに替わって各州で徐々に導入されている。
オーストラリアン・カリキュラムは、教科学習領域、汎用的能力、学際的優先事項の3つの要素から構成される。
教科学習領域は、英語、算数・数学、科学、人文・社会科学、芸術、言語、保健体育、情報通信技術(ICT)の8教科であり、それぞれの教科で習得すべき知識と技能が具体的に示されている。
汎用的能力は、リテラシー、ニューメラシー、ICT技能、批判的・創造的思考力、倫理的行動、異文化理解、個人的・社会的能力の7項目が示され、21世紀を生きるこれからの子どもたちに不可欠の能力と認識されている。
学際的優先事項は、先住民の歴史、アジア、持続可能性の3領域。知識や技能というよりも社会を見る視点や見地といったもので、現代社会を理解し、社会で起きる種々の問題を解決する上で重要な視点とされている。
なお、汎用的能力と学際的優先事項は単独で扱うのではなく、すべての学習領域に組み込み、教科学習を通して育成するのが良いと考えられている。全国統一と言っても運用のしかたは州に委ねられている。
さらに、地域や学校のニーズに応じて柔軟に実施することができ、個々の教師の自主性、主体性に委ねられている。日本の学習指導要領に比べると「縛り」ははるかに少ない。