実例での交渉スケジュール管理
これは私が日本サッカー協会に勤務中に毎年経験した交渉ですが、海外のサッカー協会から当該国の監督、コーチ、ダイレクターとして日本人コーチの派遣依頼が毎年5~10件ありました。そのスケジュール管理をご紹介したいと思います。
・前提となるファクターの整理
まず、スケジューリングの前提条件になるファクターの整理をします。ファクターが多い場合は読者の皆さんも同様に整理することをお勧めします。さて、このケースのファクターは以下のようになります。
Jリーグのクラブと契約するプロコーチの契約は大体2月にスタートして翌年の1月末に終了するというサイクルになっています。Jリーグの場合リーグ戦は12月初めに完了するので、その前の11月後半から12月にかけてコーチの方々の来季の契約更改が行われ、クラブを移るコーチが大量に発生することが常でした。
我々が手がけていた海外派遣の候補者の募集・選考も、できるだけ多くの候補者の中からベストの方を選ぶためにこの時期、つまり11月後半から12月に合わせて行っていました。従い12月に候補者の面接を行い、我々が選考してから先方協会に紹介し、人選が了承されたら先方協会との契約交渉に入るという手順を踏んでいました。
その後交渉を完了させてから1月に理事会決定をすませて2月初めに赴任という段取りです。理事会決定を1月中旬にはしてもらわなくてはならないため、私はいつも年末年始の休み中も交渉を続ける状態でした。11月の候補者公募段階から、日本の業界慣習に合わせて翌年2月から契約を開始する必要があったことが、全体スケジュールを非常に余裕のないものにしていました。
・実際のスケジュール案を作成
次に右記のファクターを反映した我々の実際の業務スケジュールを見てみましょう。
11月初旬 候補者募集要領をトップクラスの指導者ライセンス保有者にメールで送信
11月末 公募締め切り
12月初旬 書類審査にて面接する候補者の決定
12月中旬 候補者面接実施
12月下旬 各国サッカー協会に推薦する候補者を内部決定
12月下旬~1月初旬 各国サッカー協会に選考した候補者を推薦、契約条件交渉
1月初旬~中旬 候補者と契約条件の交渉
1月中旬 派遣の理事会決定
1月中旬~1月末 赴任前準備2月1日赴任