第三者の介入の可能性
交渉は必ずしも交渉当事者間で完結するとは限りません。
つまり交渉に影響を及ぼす第三者の存在があることの方が多いと言えます。
できれば当事者間だけでスムーズに交渉がまとめられればそれに越したことはありませんが、不幸にして第三者の介入を許してしまうこともあります。
それではどういう第三者が考えられるでしょうか?
①行政の介入
せっかく当事者間で合意しても行政にそれが認可されないケースもあります。
そのディールの中に行政の認可が必要な事項が含まれていたり、あるいは当事者間の合意そのものに認可が必要とされるケースがあります。
このケースで厄介なのは途中で気が付いて、それまで行ってきた交渉がすべて水の泡と化す可能性があることです。
従い、交渉開始前に何か行政の認可が必要な事項が含まれていないかどうかきちんと調べあげる必要があります。
②競合他社の介入
これは交渉が停滞しているときに起こりがちです。
交渉相手が交渉経緯に不満があったり、不安要素がある場合にライバル会社がその隙に入り込んでくる場合です。取引そのものを奪われることも時々起こります。従い、交渉中は交渉相手の心持ちはどうなのかを細心の注意を持って見守る必要があります。
その時に役立つのがそれまでに収集した交渉相手に関する様々な情報です。
それらの情報を総動員して相手の心理状態を想像し、理解しておく必要があるでしょう。
また、競合他社がどのような動きをする可能性があるかもある程度イメージしておくことも大切です。
交渉相手が競合他社とも取引関係がある場合は尚更注意が必要です。
③上司の介入
重要案件であればあるほど自らの上司が介入してくることも考えられますし、あるいは交渉相手の上司が途中から出てきて交渉の展開が変わってしまうこともあります。
上司が介入することによる結果の良し悪しもあるでしょうが、あくまでも交渉を任されている立場であれば、できれば自らの力で交渉を妥結させ契約に持ち込みたいものです。
それには交渉の途中経過を必要な範囲でタイムリーに上司に報告しつつ、判断材料となる事項について上司とのコンセンサスを形成しておくことが必要です。
あるいは先方の上司が介入してくることもあるでしょう。その上司が意思決定者である場合は交渉を早めるうえでは好都合かもしれません。
但し、注意が必要なのは先方の上司がこちらの上司と顔馴染みである場合、その二人の間で知らないうちに合意されてしまうことがあることです。
そういうことが起こり得る可能性を感じた場合は、特に自分の上司に対するタイムリーな報告と判断基準の共有をきちんと行っておくことが大事になります。
上司が必要情報を持っていないまま同意してしまい、自社にとって不利益な結果となることだけは避けなければなりません。