腎生検
腎生検とは、腎機能低下のある患者の腎臓の組織を一部取り病理検査し、腎臓の状態を確認するものである。
前にも触れたが、直接腎臓の組織を採取するので手術が必要となる。
僕は局所麻酔していざ手術室へ運ばれる。真っ暗な部屋で、頭の上にはモニターがあり、それはレントゲンだった。
「ハイ、それでは針を刺します」
チラッと見えた。
「何てデカイ針だ! ストローだ、あれは! ひーっ!」
と心で思いつつも、抗うことはできずブスリと背中の真ん中あたりを刺された。頭の上で僕の背中の内部がレントゲンで見える。
針が腎臓に刺さると、
「はい、それでは呼吸してくださいねー」
と言われたので呼吸すると、そのたびに針も動く。
「それでは、組織取ります」
ブチっという音とともに身体がビックンって痙攣した。
「嫌だ、もう」
と思ったものの、この後のほうが苦痛なのである。なんせ背中の刺したところに砂嚢を当てた状態で24時間動くなと言う。食事も排泄もベッドの上。母親が24時間付き添う形になった。
深夜、僕はオシッコを催した。母親を呼ぶ。
「出るよ!」
と言うと、母親はハイハイと尿瓶をあてがうが、ずれてシーツの上に尿が流れる。
「ちょっと、ちょっと! ずれてるよ!」
なんて言ってみたが、母親は
「あー、ずれちゃった」
なんて慌てることはない。最悪だ。シーツ交換なんかできない。なんせ「安静」なんだから。じっとりしたまま時間が過ぎるのを待つ。
やっと24時間が経った。砂嚢を取り、ようやく解放される。すぐにシーツ交換をお願いし、サッパリする。
やれやれだ。ちなみに、いまの腎生検はベッドの上でできるようである。簡単に圧迫止血してハイ終わり。
いいよなあ。