不思議な少年との出会い
又々、大事件。
ある日、夕食の帰り、手をつないで横断歩道で信号待ちをしている時、子供がガードレールに座っているのが目に入った。次の瞬間、後ろ向きに道路側へ落ちていく。
トラックが近づいていて私は「きゃー」と声をあげるしかできないが、俊さん、とっさに子供を抱きかかえて、ガードレール側に引き寄せた。
トラックは急ブレーキで止まり、私は子供を受け取った。
「子供にはケガはないか?」
「ええ、大丈夫!」
子供は大泣き。俊さん、子供に、
「どこも痛くないかい?」
「うん、痛くない。おじちゃん、お手々からいっぱい血が出ているよ。痛いね」
「大丈夫。おじちゃん、強いよ。これぐらい何でもないよ」
「おじちゃん、ありがとう。うえ~ん」
手の甲から肘にかけて血が出ている。
「大丈夫?」
「おおーたいした事ない。ぼく、お名前は?」
「吉岡快君です」
「そうか。快君、ケガ無くて良かった」
快君のおじいちゃんが、
「大丈夫ですか! 本当にありがとうございました。おケガは大丈夫ですか」
「はい。大丈夫です」
「腕から、血が出ています。救急車を呼びました」
「いえ、大丈夫です」
「念の為、病院行きましょう」
五分後、救急車到着、仕方なく乗って病院へ。
「僕は大丈夫。心配ないよ」
途端にゆりが震えだした。
「思い出したら震えだしちゃった。怖かった!」
俊さんの手を握りしめて、
「大丈夫だよ」
安心したら涙が出てきた。
「無事でありがとう」
俊さん、救急隊員に、
「可愛い妻でしょう。惚れないでね。ワハハハハハ」
と。
「何! 冗談言っているの」
と怒った。救急隊員、
「危ないところでした」
と笑った。レントゲンや診察で異常無く病院を後にした。