ブレッド湖の雪
この秋、スロベニアとクロアチアのスケッチ旅行に参加した。
成田空港を飛び立って十二時間、ウイーン空港で飛行機を乗り継ぎ、一時間、オーストリアとスロベニアの国境に近いクラーゲンフルトに着いた。
もう日は暮れかかっていた。更にバスにゆられて、一時間余り、途中アルプスを貫く八キロのトンネルは驚いたことに一方通行。
赤信号で三十分も待たされたのは閉口だった。国境は比較的スムーズに通過したが、目的地ブレッドに着いた時は、もう真っ暗で、一行はすっかり疲れていた。
「皆さんの今日は二十四時間ではありません。三十二時間です。お疲れでしょうが明日目が覚めると、素晴らしい景色が待っています」
と、添乗員は言った。
その夜はともかくもベッドにもぐり込んだ。