「光秀殿は美濃出身とのことですが、有名な斉藤道三を知っていますか?」
「はい、よく知っています。私は、道三様の下で軍師的な役目を担っていました」
「道三の軍師ですと、それは、す、すごい!」
「軍師ではなく、軍師的です」と言ったのですが、酔っ払いは、人の話はあまり聞かず、
「我が家は、いまだ土佐の一部を所有しているにすぎぬので、あれこれと貴殿に教えを請いたい。先生お願いします。全然飲んでいないじゃないですか。ドンドン飲んでください」
「酒は、あまり強くないので、そろそろ勘弁してください」
(気持ちわりー、吐きそうだ)
「何を言っている、先生! しかし、なにゆえ、道三の軍師様がここにいるのか? そうだ! 相撲を取ろう! 先生! 相撲を取りましょう」
断り切れず、相撲を取りました。そして当然、私が敗れ、もう一杯飲むことになってしまいました。
「道三様は、長良川の戦いで敗れ亡くなってしまいました。今は諸国を巡り、有力大名の仕官先を探して……(痛い、頭が痛い、もう寝る)」
「では、ぜひ、自分たちの仲間になってください。バンザーイ! バンザーイ(踊りながら)」
「…………」
既にその時、私は、記憶をなくし寝ていました。しかし、確実に親密な関係になりました。
気がつくと朝で、土の上に寝ていました。投げ飛ばされた後ずっとここに寝ていたのかもしれません。
私は暫くここに滞在することになりました。