第1章 単独親権制度の何が問題なのか
「単独親権制度」に関わったことのない方は、親権を失うと具体的にどのような不都合が生じるのか、実感を持って理解するのが困難であることでしょう。この点について、事例を交えながら解説していきます。
結論から言うと、単独親権による主な不都合は以下の通りです。なお、これらはあくまで「主なもの」であり、目に見えない社会的差別を含めた不都合は、これらの他にも無数に存在します。
• 多くの場合、非親権者が子どもと二度と会えなくなる、あるいは仮に面会交流が実現したとしても、面会時間は「(概ね)月1回2時間程度」という、根拠が何もない「家庭裁判所の定める相場」に制限され、およそ家族にふさわしい質・量を伴った交流は不可能となる(定期的に子どもの写真などが送られてくるだけの「間接交流」とされることも多い)。子どもにとっても、親権者の勝手な意向次第で、一方の親と生き別れになる
• 親権者の決定に当たっては、「子どもの監護実績」が重視される。そのため、親権者になりたいと思ったら、子どもの身柄を確保して同居した上で、自らの監護実績を作ろうとする強いインセンティブが生じる。逆に言うと、相手方による「子どもの監護」を排除する方が、「親権獲得・維持」という目的に適うこととなってしまっている。そのため、以下のような問題が発生している
• 同居親が、子どもを別居親に会わせないように仕向ける大きな原因となっている